俺は捕食植物ヴェルデ・アナコンダ。
環境デッキのメンバーだった1人で、融合に特化した能力を持つ"リンクモンスター"だ。
そう、環境デッキのメンバー"だった"…
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環境プレイヤー「お前、もうクビだ」
耳を疑った。
クビ…?俺が???
「何言ってるんだよ、冗談にしては面白くないぜ」
環境プレイヤー「クビだって、クビ。リストラだよ。もうお前は不採用」
「待てよ!じゃあドラグーン・オブ・レッドアイズはどう出すんだよ!?真紅眼融合を素引きするつもりか?」
環境プレイヤー「お前使ってると素材や融合素引きキツいんだよ。ドラグーンもう禁止だし。次は融合使わないデッキ握るからよ。鉄獣戦線にしようかな。」
「そんな…考え直してくれないか!」
環境プレイヤー「もう決まったコトなんだよ!とっとと出てけ!次はその闇属性にする効果も使ってもらえるデッキにでも行くんだな!ギャハハハハハ!!」
「…くそっ…」
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こうして俺は環境デッキをクビになり、1人になってしまった。
「はぁ…まぁもうなってしまったものにクヨクヨしていても仕方がない…とりあえず、採用先を探さないと…」
これまでは"環境デッキ"のメンバーとして手厚い補助を受けて来たが、それもパッと切れてしまった。
ひとまず、採用先を見つける為に俺はとある所を目指した。
「…着いた。ここだ。」
カード○ッシュ。所謂冒険者ギルドのようなものだ。
ここで俺のステータスを数値化してもらい、俺を必要とするパーティを探してもらう事も出来る。
店員「いらっしゃいませ」
「あの、すみません。サテイ?というやつをお願いします。」
このサテイというやつをすることで、ステータスを数値化することができるらしい。基本自分のステータスは攻撃力と守備力、レベルや効果などしか確認できない。だが、彼らは独自の方法でそれらのステータスや各人のこれまでの経験などもまとめて数値化しているそうだ。難しいことは分からないが…
店員「はい、買取ですね。査定いたしますのでこちらの番号札でお待ちください。」
1と書かれた札を渡された。サテイが終わるまでは自由にしていて良いということだろう。
それにしてもここには大量のカード達と、サテイによって数値化された値が貼り出されている。これだけあるなら、もしかすると…
「あった。鉄獣戦線」
そう。環境プレイヤーが俺を捨てて、次に組むと言っていたデッキのテーマ。
このテーマのエース、凶鳥のシュライグのサテイは…
680円…円とは単位だろうか?
攻撃力は俺の6倍の3000あり、効果も比較的簡単に発動できて除去効果の中では最上級の対象を取らない除外、更には自分が除去されても後続をサーチする万能具合だ。
これだけ高いステータスからサテイされる680という値は相当高いものであると予想できた。
SOLD OUTという表示もなんとなく「ここにはもういない」ことを示しているのだろう。もう既に環境プレイヤーのもとでデッキとしてパーティを率いているのだろう。そこに俺の居場所はもう無いのだ…
店員「買取番号1番のお客様〜!」
そうこう考えているうちにサテイが終わったようだ。
単純な攻撃力の比率や、効果も俺のものは強力ではあるがライフコストも展開制限もかかるので最上とは言い難いことから、おそらく俺のサテイは大体100円くらいだろう…
店員「買取金額こちらです。」
「6000!?!?!?!?!?!?!?!?」
目を疑った。
想定の約60倍だった。
シュライグの約9倍だった。
「えっ…と……これは何かの間違いでは?シュライグさんは680なのに」
店員さん「間違いありませんよ。傷もありませんし、美品で買い取らせていただきます。シュライグはまぁウルトラであればそんなもんですよ。」
「だからといって、こんなに高いサテイはおかしいのでは…?」
店員さん「希少ですからね、シクのヴェルテ・アナコンダは」
そうなのか…俺はそんなに強かったのか…
店員さん「よろしければこちらにサインをお願いします。」
よろしいも何も、こんなに俺のことを高く評価してくれているんだ。
「もちろん良いとも」
こうして俺のサテイは6000円という値と共に終了した。
ちなみにシュライグのサテイは500で、680はウリネというらしい。よく分からないので適当に聞き流した。
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この後はウリネの値とステータスボードを「ショーケース」というところに置いて待てば俺を必要とするプレイヤーがそのうち来るので採用先をゲット、という流れらしい。
???「すみません。アナコンダください」
早速俺を求めるプレイヤーが来たようだ…って
「俺を手放した環境プレイヤーじゃないか。今更何の用だ?」
環境プレイヤー「いやぁ、やっぱアナコンダ必要だったわ。戻ってきてくんない?」
「戻ってどうするんだ?鉄獣戦線に俺の枠は無いだろう?」
環境プレイヤー「環境理解のためにプランキッズを組みたくてさ。そこならお前も採用するし、使う場面だって多いさ」
「そうか…まぁ、俺は俺を必要としているところに行くだけさ。例えそれが一度俺を手放した主人だとしても…な」
そう。
このカードゲーム、遊戯王では一度そのカードを手放したところで、もう遅いなんてことはない。
多少は値が張るが、買い直せば良いのである。
『攻撃力500の最強リンクモンスター、環境デッキを追放されてしまう〜手放したのはお前、必要になったから戻れと言ってももう遅いなんて事はなく、多少は値が張るがいくらでも買い直すこともできる』
完
店員「14800円になります。」
耳を疑った。
あの話した後にあいつ亜シクを買い直しやがった。
終わり